ファシリテーション 山崎 将志

ファシリテーションとは、会議において合理的に結論を導き、合意形成を図る技術である。

昨今のビジネス現場では、様々なことが高度化、複雑化しており、自分一人で物事を解決するのではなく、多くのメンバーが集い知恵を出し合い協力しながら物事を解決していくスタイルが主流である。

当然、そのような場面は打ち合わせであったり会議であるが、その場を取り仕切り、解決の方向へ導くのがファシリテーターである。

本書は、ファシリテーターの入門書として、様々な事例を交えながらとても丁寧に書かれている。

日頃の打ち合わせや会議で行き詰まり感のあるときにお薦めの一冊である。

本書のポイントは以下のとおり。

・企業間競争の勝敗を決める要素として、意思決定の質が高まり、意思決定はトップだけでなく、トップの意思決定を実行するための役員会での意思決定、ミドルマネージャークラスの意志決定、部署単位での意思決定が必要

・他者とのコラボレーション機会の増加。それぞれの文化の違いの克服が必要だが、そのためにも文化の違いに配慮しながら、共通の目的に向かって合理的にプロジェクトを進めていくルールを作り共有する必要がある。

ファシリテーションとは、会議において合理的に結論を導き、合意形成を図る技術である。

ファシリテーションには、会議中の適切な「仕切り」と会議の事前準備から事後処理までの一貫した「段取り」が不可欠

・会議の流れ
(1)事前準備;議題、参加者の設定、開催通知、資料作成、準備、アジェンダの作成
(2)会議冒頭;会議の趣旨説明、議題説明、趣旨、議題の合意確認、タイムテーブルの提示
(4)議事進行;可視化による論点整理、議論の活性化、意見調整等の交通整理
(5)会議終了と事後処理;議論の過程や決定事項の確認、未決定事項の確認、議事録の作成、配布、行動計画の管理

・議論の進展は
(1)創造;アイデアや意見を出し合う
(2)調整;議論して案を絞ったり、意見をすり合わせたりする
(3)結論;最終的な結論を出す

ファシリテーターには、目的達成に対する強いこだわり、論理的思考や発想力に加え、集団心理の理解といった、ビジネスパーソンとしての総合力を求められる

・会議の3点セット
(1)アジェンダ;会議の目的、進行等を記載
(2)作業計画表;必要な作業項目とスケジュール
(3)課題一覧表;発生した問題の提起及び実施管理のためのもの

ファシリテーターは、質問と確認を通じてメンバーをゴールに導く
(1)意見をまとめる;議論が収束するタイミングで
(2)言葉の意味を明確にする;「あれ、これ、それ」、主語、述語のあいまい、不明確なもの
(3)視点、視野、視座を提供;アイデアが出ず、議論が停滞しているときに見るべきポイント、範囲、立場を変える

ファシリテーターの基本スタンスは、会議のプロセスにおいて、主役であるメンバーを支援すること

・議題設定の段階でゴールを明確にする

・アジェンダ、会議案内で、取組背景と主催者の課題認識を会議前に説明する

ファシリテーションの成否は、会議のゴールが達成できたか否か

・アジェンダは、会議の流れやゴールのイメージを共有し、会議の効率化を図ることが可能となり、結果として会議の時間短縮が図れる

・アジェンダ作成により、「企画の綿密な検討」が行われる。それは会議のシナリオや落とし所。アジェンダをしっかりつくれば、会議の流れやゴールのイメージが形成され、会議を円滑且つ合理的に進行させることができる

・丁寧なアジェンダはじっくり考えなければできない。心で思っても文字にすると確認、検討もれに気づき、紙に書くことで自らの頭の中が整理され、準備の精度が高まる

・アジェンダは全体の流れを示し、このレベルまで「何を=テーマ」、「どこまで決めるか=ゴール」を明示することが必須である

・作業計画表の最大の目的は、「計画の実現性を準備段階できちんと確認すること」、「進捗をモニタリングすること」の2点

・「誰が」、「何を」、「いつから」、「いつまで」実施するのか明示する