Hot Pepperミラクル・ストーリー 平尾勇司

Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方

Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方

本書はとても面白い。そしてためになる。

駅頭で配布されていたりコンビニの店頭に置いてあるホットペッパー

あまり飲食に関心が無いのだが、何となく無料マガジンのはしりであることは理解していた。

本書を読むまでは全く知らなかったが、ホットペッパー事業は売上げ300億円、営業利益100億円を計上する脅威の事業だったのだ。

著者の平尾勇司氏は2001年にホットペッパー事業部長に就任。先のような脅威の事業に育て上げた。

その背景には様々なマネジメントの工夫や苦労があり、ホットペッパーの成功を題材に平尾氏の考え実践してきたノウハウを提供するビジネス書でもある。

平尾氏はホットペッパーリクルートがつくった事業ではないという。

ホットペッパーは正社員でない800名の業務委託、3年の契約社員、アルバイトの人たちによって生み出されたのだという。

そのようなリソースを活かしながら事業を成功に導いた平尾氏の経験の中から、

・事業とは何か?

・強い組織とは何か?

・よいチームとは何か?

・すぐれたリーダーとは何か?

そんな問いかけを繰り返すビジネスマンのために、答えを導き出す実践ビジネス読本です。

とのことだ。

本書は、まず「ホットペッパー」とは何か、から始まる。

WEB時代なのに敢えて紙を媒体とした。NTTのタウン情報が街のあらゆる店を紹介するのに対し、ホットペッパーは飲食、居酒屋に的を絞る。

そして紙面は店や料理の写真とクーポン。当初店主は広告掲載料を払ってまで値引きさせられるのか、と抵抗もあった。しかしこれは「クーポンはお客様へのギフト」と定義付け、クーポン文化を醸成した。

オールカラーの分厚い雑誌、しかも無料。全国各地で一斉にコンビニ店等や駅頭で配布される。クライアントには1ページあたり80万円で売られる。

元々リクルートでは360°という生活情報誌を発行していた。しかし戦略的な失敗からホットペッパーへ転換し成功をおさめる。

少々過去の過ちを批判するくだりは、あまり気持ちのいいものではないが、しっかり反省が活かされているのがよくわかる。

少々前置きが長くなったが本書はホットペッパーのサクセスストーリーだけではなく、一種の自己啓発本でもある。

そのなかでも特に印象に残ったことを記したい。

「剣道には小手、面、胴しかない」

営業は変化自在の顧客を相手にするのだから、営業のやり方を型にはめようとすることはどうか?と部下から疑問を投げかけられたときに、平尾氏は、

「剣道には小手、 面、胴の3つしかない。

戦う相手が変化自在だから、技も変化自在なのか?そうじゃない。

相手の攻撃には傾向があって、それに対応する技があるんだ。営業だって一緒だよ」

それは人間の自由な創造性を阻害しないかとの疑問に対しては、

「違う、基礎ができていれば応用ができる。人間の創造性を最大のレベルまでに引き上げるために基礎の型を訓練するんだ...」

何事も基本は大切だ。ビジネスパーソンでいえば、IT、英語、財務の知識が必要といわれているが、もっと基本的な「話す、書く、聴く、読む」の基本スキルができていない人が多い。

基礎訓練こそ何があっても動じない糧となるのだ。そんな当たり前の気付きをもたらしてくれた。

このように本書はホットペッパーの成功体験をもとに様々なビジネスノウハウを著している。

ホットペッパーに関心のある人は、その舞台裏を知る、また多くのビジネスパーソン自己啓発の参考にお薦めの一冊だ。

Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方

Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方


今日は待望の勝間先生の講演会。

会場に付き座席を確保し、配布された資料を読んでいたら、勝間先生が到着。紺の縦に白い線が入ったスーツ姿。想像していたより小柄なのが印象的だった。

18:20頃に司会者による諸注意。デジカメ撮影はOKだが携帯での撮影は不可とか。もっと早く教えてくれ、といったところだ。
勝間先生の話をテレビや音声ファイルで聞いた印象はとても早口だった。しかし今日は気を使われていたのか、標準的な印象。(終盤に時間が押してきたときは少々早口だったが)

講演の内容は以下のとおり。

配布資料タイトル;「勝間式『利益の方程式』〜商売は粉もの屋に学べ」の読みどころ A4 横のパワーポイント 全P27

講演の内容

1.自己紹介

わらしべ長者論;勝間先生のキャリアアップの持論。ちょっとしたきっかけを大切にし、無欲に力一杯働くことの繰り返しでキャリアを積み重ねることは可能。

2.好循環のしくみの作り方

・ベストセラーは「共感の輪の広がり」のこと(勝間先生の定義)

・共感の輪の広がり=著者の思い×編集者、装丁者、イラストレーターの思い×マーケティング、営業、販売担当者の思い×書店の思い×読者の思い

→それぞれの思いが相乗効果を発揮する

・ベストセラーになるのは「熱い」本

→共感を生む本であるということ

3.勝間式「万能利益の方程式」解説

・世の中の利益は「時間て勝負」

→何事も早い者が勝つ

・4つの変数 顧客単価、顧客獲得コスト、顧客原価、顧客数をどうバランスするかが重要

(1)変数1;顧客単価を上げる方法

・顧客単価が利益に大きく影響

・利益が上がって、顧客満足も上がるのが良い利益

・利益は上がるが、顧客満足が下がるのは悪い利益

(2)顧客獲得コストを下げる方法

・物余りの時代、商品力が顧客獲得コストを下げる

・顧客を積極的に選択する、いかに欲しい人にメッセージを伝えるか

(3)変数3;顧客原価を下げる方法

・過剰品質、過剰設備投資、過剰人員が原価高を招く。携帯電話が良い例。

仕入れ先を工夫(ブックオフの例)

・結局は地道なベンチマークが決め手。自分でデータをとって工夫するしかない。

・なぜ粉やはもうかるのか?

小麦粉は低コストで高カロリーが得られる。低所得者が太る理由でもある。

(4)変数4;顧客数を上げる方法

・顧客セグメンテーションの基本は年齢、性別、所得。やはり所得の影響は大きい

団塊世代団塊ジュニア世代が重要。勝間本のターゲットでもある。

4.社会で貢献する〜Chabo!のしくみ

・著者印税(10%)の20%をNGOであるJENに寄付する仕組み

・日本に市民社会を根付かせることに貢献したい。

5.キャリアアップとツキについて

・仏教の「三毒」追放がキャリアアップとツキに効果がある

  • 妬まない、怒らない、愚痴らない

→人間は何事も忘れるもの。しかし 三毒によって、いつまでも悪いことが記憶に残る。これの実践により物事がうまくまわるようになった。

・努力不足の4段活用

  • 努力不足→責任転嫁→被害者→加害者

→責任転嫁を始める時点で、かなりやばい状態。自分の努力不足を理解すること

・一人一人が明日からできること

  • Not To Do Listを作る

三毒、相手の仕事に言わなくてもいいことを言わない(勝間先生)

  • 依存薬物を減らす
  • テレビやネットを見る時間を減らし、本を読む量を増やしてみる
  • Give^5を実行してみる
  • 「無意識」の存在をもっと意識する

→ネガティブを減らしてポジティブを増やす

・最後に

  • 「未来は過去の蓄積からしか決まらない」「起きていることはすべて正しい」が座右の銘
  • ここで、みなさんとお会いしたことは、必ず、何らかの意味が、今に将来にあるのだと思う

以上が本日の講演会のエッセンス。特に印象的だったのは「三毒」の話。妬まないようにするには、怒らないようにするには、愚痴らないようにするにはと考えることで何事もポジティブに思考できるということ。

目から鱗とはこのことだと思った。 早速今日から実践したい。

最後にサイン会。今日は利益の方程式とフレームワークを持っていったので両方にサインをいただいた。しかも自分のフルネーム付き。

勝間式「利益の方程式」 ─商売は粉もの屋に学べ!─

勝間式「利益の方程式」 ─商売は粉もの屋に学べ!─

私が絶望しない理由/河合薫

行く手を断崖絶壁に阻まれた時に人はどう考え、行動するか?
そんな問いかけから本書は始まる。

本書では様々な種類の断崖絶壁を越えて対岸に渡りきった勇気ある9人に対し、インタビュー形式で、断崖絶壁での経験、つまり断崖とはどんなものだったか、断崖に立ったとき、何を思い、どういった行動を起こしたのか、更にはそうした経験が対岸での活動にどう生かされているか等を明らかにしようと試みている。

その勇気ある人々は以下のとおりだ。
・渡邉美樹(ワタミ社長)
たかの友梨
武田双雲書道家
森永卓郎(経済アナリスト)
・大石佳能子(メディヴァ代表取締役
鈴木亜久里
・中村紀子(ポピンズコーポレーション代表取締役
清宮克幸サントリーラグビー部監督)
西室泰三東京証券取引所会長)
そうそうたる面々だ。

それぞれの方々ともに印象的な話ばかりであったが、今回は特に印象に残った「たかの友梨」氏について書いて行きたい。

たかの友梨氏といえば、「たかの友梨ビューティークリニック」の代表として著名だ。
群馬県前橋市の理容店で働きながら、地元の定時制高校を卒業。理容コンンクールで入賞を続け、県内では注目を集めていた。
そして「日本一」目指して上京。ニキビ治療用の化粧水がよく効いたことをきっかけに化粧品会社へ就職、やがてフランスへ乗り込みエステの技術を学ぶ。
帰国後第一号店を出すころ、初めての結婚。しかしビジネスの成功とともに夫の立場が難しくなり、「地獄の特訓」という自己啓発セミナーでの講師の一言をきっかけに離婚を決意。

セミナーの先生に、「あなたには能力があるから世の中のために役立てなきゃいけない」と言われて、突然、気持ちが吹っ切れた。バーンと目の前が開けて「そう私には能力がある。それを生かさなきゃ」ってそれまでのモヤモヤしていた気持ちが吹き飛んだんです。それで家に帰るなり夫に、「申し訳ないけど、私は仕事で生きていきます。こんな私で嫌だったら別れていただいて結構です」って言ったんです。

それからのサクセスストーリーは周知のとおりだ。

たかの氏の子供の頃は、想像できない程の苦労がある。
まう幼稚園の頃に最初の父親が離婚で離れた。ほどなく二番目の父親ができるが、籍がはっきりしていなかったようで、学校へ入学しても座席がなかったこともあった。その二番目の父親も事業での失敗もありほどなく離婚。
母親は旅館で住み込みで働くようになったが、たかの氏は親戚をたらい回しにあう。
母親と再び一緒に住むことを夢見つづけ、ようやく念願かなった時は、何と3人めの父親がいた。

父親には東京に私と同じ年の娘がいて、ことあるごとにその娘と私を比べるの。たとえば、父がわざわざ彼女のテストを私に見せて、「お前は頭が悪い」とか言うんです。ただ、私にいじわるするというよりも、父と私とで母を取り合っていたんでしょうね。しかも父の連れ子は有名な私立の女子高校に通うことになって、どうして相手は高校に行けるのに、私は理容師なんだろうって。納得がいきませんでしたね。

更にはその母親も実は実母ではないという。
このような凄まじい経験を、単なる昔話を語るかのごとく話す たかの氏に表現のしようがない強さを感じた。
これについて著者の和田氏が書いていことも印象的。

悩んだり、苦しんだりしながらも、ちょっとでも前に進んでいく努力を続ければ、苦しみに耐える力が育まれていく。結果や目標ばかりにとらわれ、「目標がないから、夢がないから」と嘆く人がいるが、時には何も考えずに目の前にある自分にできることを見つけ、それに全精力を傾ける。そうすることで苦しみが強さに変わり、新たなチャンスを得るエネルギーが蓄えられるのである。

どんな時にでも、次にやるべきことを見失わず、それに精力的に取り組む。決して逃げたりしない不屈の精神。
本当に重要なメッセージだ。

本書は現代に強く生きる著名人の実話、しかも本人が語っている。
きっと心に響くことが多く、指針にもなりうる内容がちりばめられている。
最近良いこと無いなという方にお薦めの本だ。

私が絶望しない理由―激白。あの有名人9人の土壇場、修羅場、正念場

私が絶望しない理由―激白。あの有名人9人の土壇場、修羅場、正念場

愛され社員で行こう!/藤沢あゆみ

タイトルのイメージや多色刷りの本であることから中年男には似合わない本かも知れないが、多くの気付きをもたらしてくれた本だ。
本書で著されている数々の「愛される社員」になるポイントに従い自分を振り返えった。できていないことばかり。
これから意識して行動していきたい。

そして著者の藤沢氏は愛され行動のネーミングの天才だ。思わず唸ってしまうことが多かった。これを追いかけるだけでも楽しい本だ。

自分に欠けていて、特に印象的だった内容を以下に記す。

半径1メートルで決まる、あなたの愛され度。
自分が近づく時や、相手が自分に近づくとき、相手はどんな表情になるか。
笑顔であれば○。
これを「リモコンの法則」と呼んでいる。自分というリモコンを相手に向けてピッとやると表情が変わる様子から名付けられている。

「おはようございます」と挨拶する以前の、自分の姿が相手の視界に入る半径1メートルで相手がスマイルモードになるのを目指しましょう。それは常に笑顔でいるとかではなくて、日頃の人間関係に気を配るということです。

なるほど...全くできていない...リモコンの法則。意識したい。

次は人間関係の話。
人と人の間にある自動ドアは、ひとつずつゆっくり開ける。
人と人とが出会ったときは、ドアは閉まっているイメージ。一人が話しかけて、一人が聞く態勢になると、お互いの気持ちが自動ドアのように自然に開くということだ。

普通の自動ドアと違うところがあります。普通の自動ドアが、軽すぎるとセンサーが感知せずにドアが開かないのに対して、会話の自動ドアは、逆に重すぎると開きません。
題して「逆自動ドアの法則」。

う〜ん〜、いつも無理矢理こじ開けようという意識があるな。これもできていない...

そして最後は、愛され社員が「愛され上司」を作る!
上司も人の子。責任も重く、時には怒りに満ちた行動や発言をすることもある。そんな時は、

具体的には、こちらから、「おだやかに話す→上司がイライラして返す→イライラの部分は受け取らないで業務に関係のある確認をおだやかに返す」というように話します。
つまり黒を白と白ではさむ。
これを「オセロの法則」と言います。

相手が攻撃的な時は、そのネガティブな部分は受け取らずに、冷静に対応する。
確かに、怒りに怒りを返していては、まさに火に油を何とかだ。これは対上司だけでなくても使えそうなスキルだと思う。

本書は今年から社会人になった若手からベテラン社員まで、必ず参考になることが数多く著されている。
ぜひ一読をお薦めしたい本だ。

「愛され社員」で行こう!

「愛され社員」で行こう!

普通の人がこうして億万長者になった/本田 健

本田健氏が2004年に発表した同名タイトルの文庫本化。
本田健氏のライフワークともいうべき「お金持ち」についての研究をまとめた書。
今回は、億万長者と呼ばれる人へのアンケート調査、並びにヒアリング、そして普通の所得層へのアンケート等で比較し、億万長者の考え方、行動等の実態を浮き彫りにしている。

億万長者とは純資産1億円以上を所有する人と定義づけられている。(もちろん私は十万長者であるから対象外)
億万長者と普通層との比較で興味深かったのは以下の点。
億万長者のコメント

私が勤勉に働くのは、お金を儲けたいからではありません。生活のためにお金を稼ぐことはもちろん大切なことですが、それよりも仕事を通して、お客さんに喜んでもらったり、社会に貢献することが、大切だと思っています。お金はその結果ついてくるものだと思っています。

普通層のコメント

私は、お金を稼ぐために、毎日一生懸命働いています。今は何とか人並みの生活を維持することができていますが、今後、給料が減るかもしれないことや、年金がどうなるかが不透明になることを考えると、お金の不安が結構あります。

この意識、現状認識の差はどこから生まれるのか。本書は更に浮き彫りにしていく。

億万長者の人生に見られる10の特徴とは何か。

(1)好きなこと、得意なこと、喜ばれることを仕事にすること
(2)誠実なこと、健康なこと
(3)運がいいこと
(4)危機を乗り越える力があること
(5)人に応援されること
(6)メンターがいること
(7)パートナーといい関係を持っていること
(8)子供の教育を独特に考えていること
(9)長期的な視野を持つこと
(10)決断を上手にすること

億万長者になれるかなれないかの最初の鍵は、自分は億万長者になれないと考える「思考の壁」を打ち破ることができるかどうかにあるという。
そのうえで億万長者はどのようにしてビジネスを選択し財産を築いていったか。要約すれば、自分が好きで、人に喜ばれる仕事をしてきた、に尽きる。さらに誰よりも勤勉に働くことや目の前のことに全力を尽くし、仕事を通して成長することが必要だと説いている。

億万長者が共通して持っている考え方「ミリオネアメンタリティー」について見て行く。
億万長者が成功するために大切だと思うこと。その上位は、誠実であること、健康であること、幸運であること、最終的には自分で判断できること、自分の仕事が大好きであること、とある。人間としても当たり前のことかもしれないが、成功の背景にはスキルや知性よりも、その人の働く姿勢、人間性が大きく影響を与えているようだ。

更に特筆すべきは、億万長者の中には物を大切にしている人が多いということ。そしてそのことを誇りに思っている人が多い。

物を大事に使います。修繕が第一です。時に買い換えが得のこともありますが、それでもなお、修繕します。乗用車は19年間、同じクラウンに乗りました。

意外だったが、決して贅沢三昧ではないのだ。

また億万長者は運を引き寄せる達人でもある。運を引き寄せる方法は以下の4つ。

(1)できることは精一杯やり抜くーーー幸運の神様は努力に引き寄せられる
(2)人との縁を大切にするーーー幸運の神様は、人をとおしてやってくる
(3)時流をつかむーーー幸運の神様は、時代の流れと一緒にやってくる
(4)自分が幸運であると知るーーー幸運の神様は、自分に気づいた人のところにやってくる

そして、億万長者は愛人をつくり派手な生活をしているイメージがある場合もあるが、実態は大きく異なる。多くの億万長者が夫婦関係をとても大切にしている。普通層の人々は仕事のことをパートナーとしない傾向だが、億万長者は全くの逆で積極的にアドバイスを求めるケースも多い。また離婚率も低いとのデータもある。

最後に億万長者にあって普通層にない決定的なものと個人的に感じる事柄。「信念を持って決断する」

億万長者の人たちも、過去に人生の一時点で、リスクをとって、自分の目標に向かって行動することを決断したからこそ、現在の状態があるのだと思います。
そこで億万長者たちに、決断の大切さについて質問してみました。すると、億万長者の二人に一人が、成功するためには自分で決断できることが大切だと答えてくれました。

億万長者は自分なりの人生観をもちつつ、いや持っているからこそ決断ができており、自分で決断できない人は、自分の好きなことや得意なことを表現しないまま、普通の人として平凡に生きる人生になってしまう。
決断が上手にできる4つの方法を以下に記す。

(1)決断をとにかくたくさんすること
(2)普段から準備しておくこと
(3)直観に従うこと
(4)決断の結果を想定して、先回りすること

(4)は、マイナスの事態が発生しないように、事前に先手を打つことができていて、この段取りが普通層との違いなのだ。

以上のように、ごく一般的な普通層である私には厳しい内容ばかりだが、普段の生活から会社での生活で参考になる事柄がとても多く書かれている。
一般人には普段は縁がない世界だが、本田氏の精力的な調査、研究により億万長者像が浮き彫りになっている。今のマンネリ化した生活に刺激を与える意味でも一読の価値は十分にある本だ。

インテリジェンス読書術 年3,000冊読破する私の方法/中島孝志

著者の中島孝志氏を失礼ながら一言で言うと何と表現したらよいのだろうか?
本書には、経営コンサルタント、経済評論家、ジャーナリスト、出版・映画プロデューサー、大学、ビジネススクール講師とある。
タレントでは歌手や俳優、バラエティ等何でもこなすのをマルチタレントと呼ぶが、さしずめ中島氏はマルチプランナーといったところか。
さて本書は次のような人に書かれている。

(1)「仕事で山ほど本を読まなければならないのに、読むのが遅くて・・・・・」と困っている人
(2)「どんな本を読んだら良いかわからない」と迷っている人
(3)「たくさん読んで勉強しているのに、ちっとも具体的な成果が現れない。結果として、あまり評価されていない」と嘆いている人

私は(3)になるのかもしれない。
それはさておき、中島氏は年に3,000冊の本を読む「読書フリーク」。年に300冊も満たない私では足下にも及ばないのだが、中島氏の進める読書術を見て行きたい。(もっとも3,000冊/年も本を買ったら破綻だが)

中島氏は「読書」について司馬遼太郎の言葉を借りて、読書は「太鼓のようなものだ」と言っている。

こちらが強く叩けば、本のほうでもより大きく応えてくれます。けれど、読み手が少ししか叩かないと、ほとんど何も教えてはくれません。あなたがすべきことは、まず太鼓を強く叩くことにあります。つまり読書にどっぷり浸かってみるのです。

本に書かれているアイデアを実際に使ったり、モチベーションをあげたりする読み方であり、中島氏は「知的生産のリーディング」と呼んでいる。
勝間和代氏のブレークもあるが、神田正典氏推奨の「フォトーリーディング」という読書術が注目されている。中島氏もフォトリーディングではないが速読教室に通ったこともあるのだが、中島氏の読書術はこれら速読とは一線を画す。

私の本の読み方は違うのです。わたしは本=発想の道具だと考えています。本の内容を覚えようなんてさらさら考えていません。それよりも、この本を読んでいったいどんなアイデアが閃くか、そのアイデアをどうビジネス化するか、事業化するか、本業のコンサルティング業務に活かすか ということばかり考えているのです

読書で一番大切なのは「考えること」という。確かにこれは実感できる。流されるように読む本の内容は殆ど記憶に残らない。
目的意識を持って読書にのぞむと理解度や記憶が違う。フォトリーディングも目的意識を持って読むという点では基本は同じと思うのだが。
さらに基本動作としては、フォトリーディングまで行かなくても、本書に著されているように、速読のためには、目と脳を活字に慣れさせる、目を活字になじませる、目を鍛えるといった日頃からの鍛錬が必要なのだ。
一見するとフォトリーディングとは一線を画そうとしようとしているようだが、基本的な部分は通ずるものがあると思う。
これからは読書は「太鼓のようなもの」を意識して取り組んで行きたいと思う。

インテリジェンス読書術 年3000冊読破する私の方法 (講談社+α新書)

インテリジェンス読書術 年3000冊読破する私の方法 (講談社+α新書)

強運になる4つの方程式 もうダメだ、をいかに乗り切るか/渡辺美樹


居酒屋「和民」を中心に外食産業から介護、学校の理事長までも手広く手がける渡辺美樹氏の著作。
これまで数多くの著作が発表されているが、実は読むのは本書が初めてだった。
雑誌(日経ビジネスアソシエ)では毎回連載を読んでいたので初めてのような気がしなかった。
さて本書は渡辺美樹氏が明治大学を卒業後、佐川急便のドライバーから今日の地位を築くまでの出来事を振り返り、成功することについての方程式を発見し、それを著している。
本書には四つの方程式があり、これは渡辺美樹氏の価値観の反映であり、行動基準となっているのだ。
渡辺氏の運は、決して偶然ではなく、自分のやってきたことに対する結果だという。
第一の方程式は「神様が応援したくなるような努力」
ここでは特に先ほども書いたが、会社設立資金の300万円を稼ぐために佐川急便を、それこそ不眠不休で働いていたことが強調されている。

辞表を出すかどうかは、倒れて意識不明になってから考えようと思っていました。まだ意識があるから大丈夫、意識があるうちは続けようと思ったわけです。

結果論であるが、今日の渡辺氏の成功から、この努力も「神様が応援したくなるような努力」だったというわけだ。
寝不足を補うために、

私は赤信号のたびに睡眠不足を補っていました。

さすがにこれはまずいだろうが、何事もなかったのは神様のおかげか。

神様が応援したくなるような行動が好きになり、それが価値観とか人生観にたどり着くことが大事だという。
人間性を向上するためには、夢を持つ事が大切です。そして、夢を追うプロセスのなかで「ありがとう」を集めることができたら、神様はきっと、夢を追う努力に対し、惜しみなく応援してくれる。

「神様が応援してくれるような努力」、「ありがとうを集める」。良い言葉だと思う。忘れずに意識して実践していきたいと思う。ここを知るだけでも本書を購入する価値は十分ある。
さて第二の方程式以下は以下のとおり。
第二の方程式;原理原則を外さない。
流れに乗ってきたらその流れを維持しセオリー通りに進めること。自分に流れがきているときは、危ない事はしない、無理な手は打たない。
第三の方程式;明るくて人との出会いがある
渡辺氏の恩人ともいうべき人は、元つぼ八社長の石井誠二氏。石井氏のとの出会いがなければ今日の渡辺氏はなかっただろうという影響を与えた人である。その時意識していたのが、第一印象のよさ、特に明るさ、礼儀正しさというものをとても大事に感じたのだという。
第四の方程式;心に一点の曇りもない
心に曇りがあると必ず顔に出る。どうすれば曇りがなくなるか。人にも「自分」にも嘘を言わないことだ。良心に従って、正直に自分らしく生きることだという。

幸運の鍵を握っているのは、ほかの誰でもなく、あなた自身なのです。

池の鯉のように限られた範囲で餌がくるのを待っているようでは運は巡って来ないということだ。自らが主体的に行動して初めて運が開けるというものだと、わかってはいたのだが、改めて認識させられた本だ。
成功した経営者が実際の出来事をベースに書いたものだけあって読んでいて迫力を感じる。モチベーション向上にもつながるので、ぜひともお薦めの一冊だ。

強運になる4つの方程式-もうダメだ、をいかに乗り切るか (祥伝社新書114)

強運になる4つの方程式-もうダメだ、をいかに乗り切るか (祥伝社新書114)