はじめての課長の教科書

著者の酒井穣氏は東京出身で、慶大卒業後国内商社を経てオランダの精密機械メーカーに転職し、オランダに移住。
2006年末Google Mapsなどを利用したウェブ・アプリケーションを開発するベンチャー企業J3 Trust B.V.を創業。
オランダでの生活、経営や育児、語学などの幅広い話題をカバーする人気ブログ、NED-WLTの管理人でもある異色の経歴。
異色というのは私の主観であるがオランダ在住という方が書かれる本は初めて読んだ。(と思う)

酒井氏によれば、いわゆるマネジメント理論というものは基本的には欧米から輸入されたものであるが、一方で課長といった中間管理職といった職層は日本独特で、欧米のマネジメント理論には想定されていないとのことだ。

本書は欧米のマネジメント理論にない中間管理職の重要性に着目し、中間管理職のプロになるための方法が書かれているという。

オランダに住んでいるのに日本の中間管理職の実情がどこまでわかっているのか、と読む前は疑問だったが、内容は国内の中間管理職である「課長」と呼ばれる職層の人が如何にあるべきか、忠実に表されていると思う。

課長を目指す人、今まさに課長の人、そして課長を部下に従える部長、経営層にも、「課長のあるべき姿」を的確に著したお薦めの一冊である。

□本書のチェックポイント□

・課長の部下はエース級の人材も問題社員も玉石混合であり、ベテランの係長などもいるので勤続年数にも大きなばらつきがあります。これに対して、部長の部下である課長は、そもそもがエース級の人材のみであり、基本的に粒ぞろいです。

・ほめるべきときには、「自分がこんなふうにほめられたら嬉しいだろうな」というこにと想像力をフルに働かせて、効果的に感謝の気持ちを表現することが、良い課長たるためにはどうしても必要です。

・キーマンの本当の意味は「オフィシャルには決定権の及ばない数多くの議題に対し、影響力を発揮することに長けている人」ということです。

・できる仕事がある、会社の役に立てることがある、課長から「ありがとう」と言われるような小さくてもそれなりの成果を出せるというような状況になれば、Cクラス社員でも少しずつモチベーションを回復させ、能力を向上させていくものです。

・自分の弱点をはっきりと認識し、負けパターンのシグナルとなる初期症状を覚えておきましょう。自分の弱点を根本的に克服することは困難でも、同じ失敗はテクニックで回避できるからです。

はじめての課長の教科書

はじめての課長の教科書