あえて紹介するまでもないが、歌手としての実力もさることながら、ドラマ、バラエティ番組等でマルチな才能を発揮している和田アキ子氏の著作。

最近の親や上司、先輩、教師といった人々が叱れなくなったことを嘆き、成人式で暴れる輩、地べたにしゃがみ込んでケータイでメールする輩、はたまた一国の総理大臣が突然辞める、横綱が職場放棄する等々、、、どこかおかしいこの世の中に憂いを感じ、このままではいけないと「和田アキ子流」のメッセージが詰まった一冊。

テレビで話している和田氏のように、迫力ある語り口で引き込まれる。内容もうなずけるものばかでりだが、和田氏の感性には関心させられる。

「最近の世の中、おかしくなっている」と思う方に、そういった意識を共感し、高めるためにもお薦めの一冊。

ちょっと疑問だったのが、和田氏は昨年で芸能生活40周年を迎えた。そしてその間和田氏に仕えたマネジャーは約30人以上とのこと(P44)。その中には17年続いたマネジャー(P154)、20年続いたマネジャー(P170)がいるそうだ。とすると38年で2人のマネジャーだから、のこり約2年間で28人のマネジャーを次々に従えたのか.....?

叱られそうだからこれ以上の詮索はやめておこう。

□本書のチェックポイント□

・「一人ひとりの個性を大事にしろ」と言うけれど、個性を、突飛な行動をしたり、人のことなんかおかまいなしに傍若無人にふるまうこととカン違いしているヤツが多いんじゃないか。反社会的でモラルも何も関係なく、わが道を行く.....それが個性だと思い込んでいる。

・まるで着せ替え人形みたいに、子供にいろいろな服を着せて喜んでいるのもバカだなぁって思います。嫌いなのは、頭をモヒカン刈りなんかにさせて「カワイイ〜」なんて行っている親。あんなの子どものためじゃなく、親の楽しみのためですよ。

せんだみつおの子どもを寿司屋に連れていったことがありました。寿司が好きだと聞いていたので、思いっきり食べさせてあげようと思って。ところが、ぜんぜん食べないんですよ。
「どうしたの?お寿司、好きだって言ったじゃん」
「だって、回ってないもん.....」
せんだの子どもは、もう泣きそう。私、死ぬほど笑いました。コレ、実話なんです。

・せんだの家じゃ、納豆のことを”キャビア”と呼ぶそうです。

・しゃがみ込むことより、きちんと立っているほうが美しいという感覚がない。自分の立ち居ふるまいを美と照らし合わせて考えることが、たぶんないのだろう

・この本の中では、何度も「もっと声を出せ、言葉を発しろ、人とコミュニケーションしろ」と言いつづけています。それさえできていれば、暴力でねじ伏せる必要なんか絶対にないはずなんです。

・非を認めたからって、それは「負け」じゃない。決して完璧じゃない自分を認めて謙虚になれたということだから、それは大きな成長だと思う。

おとなの叱り方 (PHP新書)

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