「1日30秒」でできる新しい自分の作り方/田中ウルヴェ京


1988年のソウルオリンピックでの印象は、日本関係では鈴木大地の背泳での金が印象的であったが、その他では小谷実可子のシンクロが印象に残っていた。五輪全体ではド派手なジョイナーとか薬物で金メダル剥奪のベン・ジョンソンが印象に残っている。
本書のことをアマゾンか何かで見たとき、「田中ウルヴェ京」という名前や顔写真を見て全く気がつかなかったが、その小谷実可子とペアで出場していたのが、「田中ウルヴェ京」、当時の名前は「田中京(みやこ)」だったのだ。
小谷実可子はソロでも銅メダルを獲得したが、ペアでは田中ウルヴェ京と組んで銅メダルだったのだ。
ソウルでの銅メダル以後、個人的にはすっかりその存在を忘れていたが、本書の出版で思い出させてくれた。
さて前置きが長くなったが、本書は田中氏が現役引退後にアメリカで修得したコーピングという技術を使った自分自身を変える方法を示している。
実際にほとんどの人が本当の実力を発揮できていないとし、その原因は「感情をコントロールできていない」からだという。
感情をコントロールするコーピングの技術とは、
1.言葉を使ったコーピング
2.心理調整術を使ったコーピング
3.身体を使ったコーピング
と主に3つの手法がある。
外からの様々な刺激に対し、どう感じるか、どう行動するかは、それを受けた時の思考、つまり評価如何だという。それが感情や身体の反応に影響を与える。
この時、怖い、嫌われる、叱られる、傷つくといった「ゆがんだ評価」をしてしまうと、様々な刺激を否定的に捉えてしまい、行動が良い方向に行かない、という悪循環を繰り返す。
こうした「評価」をコーピングの技術で変えていくというのだ。
コーピングとは、COPINGと書き、COPE=対処するという動詞にINGがついたもの。

英語では、日常的に使われる言葉ですが、コーピングスキルをなると、ストレス対処スキルという意味になります。特に認知行動療法で実践として使われるスキルです。

コーピングはうつの治療、スポーツ選手や宇宙飛行士といった方面にも活用されている。
では具体的な事例を見てみよう。本書のタイトルにある「1日30秒」でできるスキルだ。
例えば自分を卑下してしまう人のためのセルフトーク
このような人たちは「どうせ自分なんて」と無意識につぶやいている人たちだ。
こういう人たちには、

「そもそも失敗や挫折や傷つきは、何か挑戦をしたときには必ず訪れるものだ!自分は挑戦したんだ!」

また心の調整テクニックとしては、他人をほめまくる方法。

実は人をほめることはなかなかできません。
私たちはどうしても他の人のアラを探すことは簡単なのですが、他人に対しても自分に対しても長所とか強みを見つけようとは考えていないのです。

だからほめ上手になるということは、視野を広げ、知らず知らずのうちに自分に自信がつく方法だという。
このように本書はちょっとした考え方を変えることにより、それをてこに大きく自分を変えるノウハウがたくさん書かれている。
なにか自分を変えるきっかけが欲しいと考えている人にお勧めの本だ。

「1日30秒」でできる 新しい自分の作り方

「1日30秒」でできる 新しい自分の作り方