インテリジェンス読書術 年3,000冊読破する私の方法/中島孝志

著者の中島孝志氏を失礼ながら一言で言うと何と表現したらよいのだろうか?
本書には、経営コンサルタント、経済評論家、ジャーナリスト、出版・映画プロデューサー、大学、ビジネススクール講師とある。
タレントでは歌手や俳優、バラエティ等何でもこなすのをマルチタレントと呼ぶが、さしずめ中島氏はマルチプランナーといったところか。
さて本書は次のような人に書かれている。

(1)「仕事で山ほど本を読まなければならないのに、読むのが遅くて・・・・・」と困っている人
(2)「どんな本を読んだら良いかわからない」と迷っている人
(3)「たくさん読んで勉強しているのに、ちっとも具体的な成果が現れない。結果として、あまり評価されていない」と嘆いている人

私は(3)になるのかもしれない。
それはさておき、中島氏は年に3,000冊の本を読む「読書フリーク」。年に300冊も満たない私では足下にも及ばないのだが、中島氏の進める読書術を見て行きたい。(もっとも3,000冊/年も本を買ったら破綻だが)

中島氏は「読書」について司馬遼太郎の言葉を借りて、読書は「太鼓のようなものだ」と言っている。

こちらが強く叩けば、本のほうでもより大きく応えてくれます。けれど、読み手が少ししか叩かないと、ほとんど何も教えてはくれません。あなたがすべきことは、まず太鼓を強く叩くことにあります。つまり読書にどっぷり浸かってみるのです。

本に書かれているアイデアを実際に使ったり、モチベーションをあげたりする読み方であり、中島氏は「知的生産のリーディング」と呼んでいる。
勝間和代氏のブレークもあるが、神田正典氏推奨の「フォトーリーディング」という読書術が注目されている。中島氏もフォトリーディングではないが速読教室に通ったこともあるのだが、中島氏の読書術はこれら速読とは一線を画す。

私の本の読み方は違うのです。わたしは本=発想の道具だと考えています。本の内容を覚えようなんてさらさら考えていません。それよりも、この本を読んでいったいどんなアイデアが閃くか、そのアイデアをどうビジネス化するか、事業化するか、本業のコンサルティング業務に活かすか ということばかり考えているのです

読書で一番大切なのは「考えること」という。確かにこれは実感できる。流されるように読む本の内容は殆ど記憶に残らない。
目的意識を持って読書にのぞむと理解度や記憶が違う。フォトリーディングも目的意識を持って読むという点では基本は同じと思うのだが。
さらに基本動作としては、フォトリーディングまで行かなくても、本書に著されているように、速読のためには、目と脳を活字に慣れさせる、目を活字になじませる、目を鍛えるといった日頃からの鍛錬が必要なのだ。
一見するとフォトリーディングとは一線を画そうとしようとしているようだが、基本的な部分は通ずるものがあると思う。
これからは読書は「太鼓のようなもの」を意識して取り組んで行きたいと思う。

インテリジェンス読書術 年3000冊読破する私の方法 (講談社+α新書)

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